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事業再構築補助金の事業化状況報告と実績報告について【徹底解説】
事業再構築補助金は、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の中小企業等の新分野展開、業態転換、業種転換等の思い切った事業再構築の挑戦を支援するために制定され、補助額の規模の大きさからも注目を集めています。
実際に申請を行い、無事に採択となった事業者様も少なくないでしょう。
しかし、申請し事業再構築補助金に採択されてもすぐに補助金が交付されるわけではありません。
補助金を受け取るためには、採択決定後に交付申請や実績報告などが必要となります。
さらに、補助金を受け取った後に、事業化報告を5年間もしなければなりません。
今回は、採択決定後にやるべき事業再構築補助金の事業化状況報告と実績報告について紹介していきます。
事業再構築補助金の申請からの流れについて
申請した後は以下のような流れになっています。(こちらは、第9回公募の時点のものを参考にしています。)
1. 交付決定通知書の受領
事務局から「交付決定通知書」が送られてくるので、Jグランツのマイページで確認します。
2.補助事業開始~終了(補助事業実施期間)
事業計画書に沿って補助事業を開始します。
補助事業実施期間は、通常枠(現在は成長枠)、大規模賃金引上枠、回復再生応援枠、最低賃金枠、緊急対策枠は交付決定日~12か月以内(ただし採択発表日から14か月後の日まで)でグリーン成長枠は交付決定日~14か月以内(ただし採択発表日から16か月後の日まで)となっています。
3.実績報告書等の作成と提出
補助事業が完了した後は「実績報告書」等を作成します。
提出する際はJグランツを利用して行います。
3. 実績報告書等の作成と提出
補助事業が完了した後は「実績報告書」等を作成します。
提出する際はJグランツを利用して行います。
4.実地検査の対応
実績報告書の提出の後、必要に応じて事務局の検査員が補助事業者(事業実施場所)を訪問し、実地検査を行います。
Jグランツで提出していただいた各証拠書類と、取得した物件等が計画通りに整備されているか、機能するかを確認します。
必ず実地検査をするわけではありませんが、原則として訪問する際は事前に事務局から連絡がきます。
5.確定通知書の受領
実績報告書の審査後、事務局が適正と認めた補助対象経費に対する補助金の額を確定します。
補助金確定通知書はJグランツで確認します。
6.精算払請求書の提出
補助金確定通知書を確認後、Jグランツで精算払請求書を提出します。
7.補助金の受領
「精算払請求書」受領後、事務局より当該補助事業者宛に補助金額の振込が行われます。
請求書類に不備が無いことが確認できた場合は、8営業日程度で補助事業者名義の指定口座へ補助金が振り込まれます。
8.事業化状況及び知的財産権取得状況の報告
補助事業の成果の事業化状況等についてと、財産処分の申請(必要な場合のみ)をします。
事業再構築補助金の実績報告について
事業者は補助事業完了後に実績報告をしなければ補助金を受け取ることができません。
申請する際に行う事業計画書の提出は、事業再構築補助金の採択されるにあたって最も重要といえるポイントをですが、実は申請した後にやるべきことも補助金を受け取れるかどうかに関わる大事なポイントとなります。
ここからは、実績報告は具体的にどのようなことをするかを紹介します。
事業再構築補助金の実績報告の期限
成長枠、産業構造転換枠、最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠は交付決定後12ヶ月以内(ただし、採択発表日から12ヶ月後の日まで)、グリーン成長枠は、交付決定日から14か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から16か月後の日まで)、卒業促進枠、大規模賃金引上促進枠は交付決定日から成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了までとなっています。
必要な書類
必要な書類を実績報告書として提出します。
提出する際に必須となる書類は以下のようになります。
また、申請・事業内容により、追加で書類が必要となる場合もあります。
書類 | 内容 |
出納帳のコピー | 補助事業に要した経費の出納状況が分かる部分 |
通帳のコピー | 補助事業に要した経費の出金が確認できる部分と、金融機関名・支店名・種別・口座番号が分かる部分 |
様式第6 実績報告書 | 「Jグランツ」にて直接入力 |
様式第7 取得財産等管理台帳(取得財産等明細書) | 電子申請システムよりダウンロードの上入力 |
見積書 | 見積依頼書(仕様書)見積書相見積書 |
申込書 | 「研修費」を計上している場合 |
海外渡航計画書 | 「海外旅費」を計上している場合 |
契約書 | 契約書発注書(注文書)と請書(注文確認書) |
公的機関の種類 | 「知的財産権等関連経費」を計上している場合 |
完了後の写真 | 「建物費」を計上している場合 参考様式17に貼付し、PDF化し提出 |
専門家就任承諾書 | 「専門家経費」を計上している場合 「参考様式10」で代用可能 |
専門家業務報告書 | 「専門家経費」を計上している場合 「参考様式11」で代用可能 |
移送先・発送先リスト | 「運搬費」を計上している場合 |
納品書 | 納品書引渡書完了報告書 |
事業完了通知書 | 「外注費」を計上している場合 |
検収書 | 赤書きで、検収日・従業員のサインが入った納品書等でも可能 |
工事完了後の図面 | 「建物費」を計上している場合 |
工事完了後の工事内訳書 | 工事内訳書明細書 |
研修終了が確認できる書類 | 「研修費」を計上している場合 |
旅費明細書 | 「海外旅費」を計上している場合 「参考様式13」で代用可能 |
航空機、切符領収書等の旅費の証明となる書類 | 「海外旅費」を計上している場合 |
請求書 | |
代金支払済みを示す証票 | |
一時移転先に移転していることが確認できる写真 | 「建物費」を計上している場合 |
実績報告における注意点
1.各証拠書類の日付(順番)に整合がとれていることが記入する際に大切になってきます。
ただし、契約内容により着手金や中間金等の先払いがある場合は、この限りではありません。
2.銀行振込以外の方法で支払った場合は追加書類が必要となります。
クレジットカードで支払った場合は、事前に事務局への相談が必要であるのに加え、実績報告時にカード会社が発行した、クレジットカードの利用明細書(補助対象期間中)、クレジット利用の旨を記載した領収書(ない場合は、カードを利用した際の控え)、カード利用金額の引き落としが分かるもの(通帳の該当部分のコピーなど)を添付します。
3.補助対象経費・対象外経費の確認をすること
下記のものは対象外経費となるので、補助対象経費となるものをしっかりと確認してから実績報告しましょう。
対象外経費となるもの |
・事務所等にかかる家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費 |
・フランチャイズ加盟料 |
・電話代、インターネット利用料金等の通信費 |
・商品券等の金券 |
・販売する商品の原材料費、文房具などの事務用品等の消耗品代、雑誌購読料、新聞代、団体等の会費 |
・飲食、娯楽、接待等の費用 |
・不動産の購入費、株式の購入費、自動車等車両の購入費・修理費・車検費用 |
・税務申告、決算書作成等のために税理士、公認会計士等に支払う費用及び訴訟等のための弁護士費用 |
・収入印紙 |
・振込等手数料および両替手数料 |
・公租公課 |
・各種保険料 |
・借入金などの支払利息及び遅延損害金 |
・事業計画書・申請書・報告書等の事務局に提出する書類作成・提出に係る費用 |
・汎用性があり、目的外使用になり得るもの(事務用のパソコン・プリンタなど)の購入費 |
・中古市場においてその価格設定の適正性が明確でない中古品の購入費 |
・事業にかかる自社の人件費、旅費 |
・上記のほか、公的な資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費 |
事業化状況報告について
補助金が交付された後は事業化状況報告をしなければなりません。
事業化状況の他にも知的財産権報告、財産処分申請も行います。
事業化状況報告とは、補助金の入金後に事業再構築の補助事業について申請者が事務局に行う状況報告のことです。
事業状況の報告は、1回目を含め合計6回の報告が必要です。
事業化状況報告が行われない場合は、交付決定は取り消されてしまい、申請者は補助金を返還することになるので注意しましょう。
原則として、補助事業終了年度の決算日の3か月後、2回目以降は、その翌年度から毎年の決算日の3か月後までに報告します。
事業化状況・知的財産権報告書の作成
中小機構の事業再構築補助金のホームページから事業化状況報告システムにインターネット経由でアクセスして、事業化状況・知的財産権報告書の作成をします。
事業化状況報告システムの操作マニュアルに従い記入していきます。
事業化状況報告の必要となる書類
事業化状況報告では、損益計算書などの必要書類の登録が必須です。
以下のようなものが必要となる書類となります。
・損益計算書
・貸借対照表
・労働者名簿
・賃金台帳(大規模賃金引上枠のみ)
・製造原価報告書
・販売費及び一般管理費明細表(内訳)
また、申請枠によって添付書類が異なる場合があります。
添付時のファイル形式は基本的に自由ですが、事務局側はPDFを推奨しているのでPDFで提出するのが望ましいでしょう。
ここで注意すべき点は、報告内容に不備がある場合は、申請者に事業化状況報告書が差し戻されることです。
差し戻された場合も事業化状況・知的財産権報告書の画面にある、事務局からの差戻しコメントを確認して報告内容を修正することができます。
事業化状況・知的財産権報告書について
事業化とは、本事業で開発した製品の販売、又はサービスの提供に関する宣伝等を行った段階でのことを指します。(設備投資のみの場合は生産開始した時点)
その段階は次の5段階に区分されています。
第1段階:製品の販売、又はサービスの提供に関する宣伝等を行っている。
第2段階:注文(契約)が取れている。
第3段階:製品が1つ以上販売されている、又はサービスが 1 回以上提供されている。
第4段階:継続的に販売・提供実績はあるが利益は上がっていない。
第5段階:継続的に販売・提供実績があり利益が上がっている。
また、知的財産権等については、その事業で開発した技術等や本事業で他社から取得した知的財産権等を活用して補助事業者様自ら出願(取得)した知的財産権等がある場合に、入力が必要となります。
これらを所定の様式である「事業化状況・知的財産権報告書」にマニュアルに沿って記入し、事業化状況の有無や事業化の段階、交付決定から報告対象年度終了時点までに出願・取得等した知的財産権などについて登録します。
事業化状況等の実態把握調査票の入力
こちらの項目には、現在の取組状況と製品等情報を入力します。
報告は、損益計算書等を基に項目に入力していきます。
現在の取組状況の報告では、売上高や営業利益、人件費などと今後の事業化の見通しや補助事業にかかる諸経費など補助事業について詳細に入力する必要があります。
そして、製品等情報は「補助事業の実施成果の事業化」を「事業化有り」(第1段階~第5段階)」とした場合、「知的財産権等の譲渡又は実施権の設定」を「有」とした場合に入力する必要があります。
入力する内容としては、製品、商品、サービスの名称、販売金額(売上額)、販売数量(売上数量)、原価(「原価算出表」への入力による算定)などがあります。
まとめ
事業再構築補助金では、採択されただけでは補助金を受け取ることはできません。
採択後にも行わなくてはならないことが多く、不慣れであれば見落としてしまうこともあるかもしれません。
ですので、困ったことがあれば積極的に専門家に頼るようにしましょう。
事業再構築補助金の申請には、認定経営革新等支援機関との事業計画策定が必要であるため、認定経営革新等支援機関に相談するのがおすすめです。
弊社も認定経営革新等支援機関に認定されており、事業再構築補助金の採択実績も多数挙げています。
事業再構築補助金について活用を考えている方は、是非ご相談ください!