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【事業再構築補助金の注意点】第12回公募の特に注意が必要なポイントについて解説
前回も解説した第12回事業再構築補助金ですが、5月20日に電子申請受付が開始されました。
採択率が異例の低さとなった第11回公募から時間が空いたこともあり、申請を検討されている事業者様も少なくないと思います。
申請締切は7月26日と約2ヶ月程の時間はありますが、公募要領に大幅な変更が加えられているので、早めの準備がおすすめです。
今回の記事では、第12回事業再構築補助金における特が必要なポイントについて解説していきます。
補助金の基本的な概要については、こちらの記事をご確認ください。
(大幅な変更あり!2024年の事業再構築補助金について解説)
第12回事業再構築補助金で気をつけるポイント
1.事前着手は原則廃止
過去の補助金では認められていた特例的措置である事前着手制度は、原則的に廃止となりました。
一部認められる条件がありますが、次回以降は完全に不可となります。
<事前着手制度が認められる場合>
①第10回、第11回公募において、物価高騰対策・回復再生応援枠又は最低賃金枠の補助金交付候補者として不採択となった事業者が、第12回公募において、コロナ回復加速化枠(通常類型)又はコロナ回復加速化枠(最低賃金類型)に申請する場合
②第10回公募において、サプライチェーン強靱化枠の補助金交付候補者として不採択となった事業者が、第12回公募において、サプライチェーン強靱化枠に申請する場合
2.融資を受ける場合は、金融機関の確認書が必要
過去の公募で「金融機関確認書」が必要になるのは、補助金額3000万円以上の場合のみでした。
ですが、今回からは額に関わらず融資を受ける場合は「金融機関確認書」が必要になります。
融資を検討している場合は、事前に金融機関に相談しておくようにしましょう。
自己資金のみで補助事業を実施する場合は、認定経営革新等支援機関による事業計画の確認のみで要件を満たします。
3.AIによる審査の厳格化が行われる
申請書の審査にAIが導入され、審査がより厳格化します。
AIによる重複率のチェックにより、コピペや使い回しが疑われる事業計画が排除されるとのことです。
過去公募で一部の業種に申請が集中したことを踏まえ、過剰投資誘発を防止するためだと考えられます。
また、交付申請や実績報告にもAIが導入され、審査の標準化・高度化が進む見込みとなっています。
4.正確な書類作成と徹底した進捗管理を行う
他の補助金よりも補助額が高い事業再構築補助金は、書類の整理や事業報告に相当の正確性・透明性が求められ、膨大な労力と時間がかかります。
ですが、対応を怠った場合は、「使いたかった経費が否認される」「書類不備で補助金採択が否認される」などのリスクを負うことになってしまいます。
運営がより厳格化されているため、これまで以上に気をつけなくてはいけないポイントです。
専門家に依頼する場合も、必ず実績がある信頼できる支援機関を選びましょう。
5.補助対象となる経費を事前に確認する
前述のような「使いたかった経費が認められない」というケースを避けるために、事前に対象経費をしっかりと確認しましょう。
想定よりも補助額が低くなってしまい資金繰りに影響が出るなどの問題が起きてしまうと、事業の継続自体が危なくなってしまいます。
補助対象とならない経費の代表例は以下の通りです。
・従業員の人件費
・不動産、株式
・公道を走る車両
・汎用品(パソコンなど)の購入費
・原材料費、消耗品費、通信費 など
6.口頭審査が行われる可能性がある
第12回公募から、一部の事業者に対して口頭審査が実施されることとなりました。
「一定の基準を満たした事業者の中から選定される」との記載があり、補助金額や事業内容によって選定されると考えられます。
口頭審査の際は事業者1名のみで対応する必要があり、専門家の同席が不可となっている点にも注意が必要です。
項目 | 内容 |
審査内容 | 申請した事業計画について、事業の適格性、革新性、優位性、実現可能性等を審査 |
審査方法 | オンライン(Zoom等) |
審査時間 | 15分程度 |
必要なもの | • インターネットに接続されたPC • WEBカメラ(PC内蔵のものも可) • マイク • スピーカー(イヤフォン、ヘッドセットは不可) • 顔写真付きの身分証明書 • 審査に適した環境 |
7.補助事業実施後の事業化報告スパンが短くなった
補助事業の実施後5年間は、事業化段階の報告が義務となっています。
これまでは年に1回の事業化報告となっていましたが、12回公募からは四半期毎に行うことが義務化されました。
8.申請者自身が申請する
これまでも公に認められていたわけではありませんが、代理申請や代理入力については、より厳しく対処されると考えられます。
IPアドレス等を確認され不採択となる可能性も考慮できますので、必ず事業者自身で申請を行うようにしましょう。
専門家に計画書作成のサポートを受けるのは有効な手段ですが、丸投げにしない意識が必要です。
9.上乗せ措置がある
「成長分野進出枠(通常類型、GX進出類型)」に申請する場合、「卒業促進上乗せ措置」または「中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置」での上乗せ申請が可能です。
対象となる場合は、補助金上限などを引き上げることができるので、積極的に検討するようにしましょう。
10.100万円を超えるシステム開発を行う場合は、書類が必要になる
100万円以上のシステム関係費を計上する場合は、「要件定義書」や「作業工程表」などの書類を採択後に提出する必要があります。
事前に書類を作成できる準備を整えておきましょう。
11.固定資産台帳の提出が必須に
12回公募からは、固定資産台帳の提出が必須となっています。
補助事業で導入した機械装置などが、既存の機械装置などを置き換えたものでないことを確認するためだと考えられます。
12.加点項目を申請して未達だとペナルティがある
加点要件を申請した上で採択を受け、申請した加点項目を達成できなかった場合のペナルティが設けられています。
事業化状況報告において未達が報告されてから18ヵ月の間、中小企業庁が所管する他の補助金への申請にあたって大幅に減点されることが明記されています。
13.オンライン交付申請説明会への参加が必要
事業再構築補助金に採択された場合は、オンラインで行われる交付申請説明会に参加しなくてはなりません。
不参加だった場合は、採択が取り消しとなってしまうので、必ず参加するようにしましょう。
14.応募が集中する可能性がある
「前回の公募から日が空いている」「前回の採択率が異例の低さだった」「次回公募の見通しが出ていない」などの条件が重なっており、応募が集中する可能性があります。
その中で採択を受けるためには、事業計画の作り込みは必要不可欠です。
また、審査にAIも導入されることから、他を真似たようなテンプレート的な事業計画書では審査を通ることは難しいでしょう。
何かを参考にする場合でも、独自の観点を盛り込んだオリジナリティのある事業計画書を目指して下さい。
15.他社と被りにくい事業計画を策定する
第12回公募では、過剰投資の誘発を防ぐため、申請が集中した事業は大幅な減点措置が講じられる可能性が高いです。
そのため、ほかの申請者とかぶらないような題材で応募することも重要です。
一時的な流行にとらわれない、自社独自の強みを活かした発想が求められます。
また、事業の新規性は公募ごとに再検証されるとされています。
過去に多く採択されたテーマについても、出来るだけ避けたほうが良いでしょう。
特に、過去に大量採択されて問題視された、「無人販売機」「エステ」「ゴルフ」などのテーマは、ハードルが上がってしまっていると言えます。
まとめ
第12回公募は、審査・ルールがより厳格化され、ハードルが高くなった印象です。
そのため、これまで以上にしっかりと制度を理解して申請する必要があるでしょう。
とはいえ、依然として補助上限も高い事業再構築補助金は、新事業に挑戦する事業者にとって、メリットも大きい制度です。
すずかぜパートナーズでは、認定支援機関としての豊富な実績とノウハウで、事業計画策定から申請までのサポート、採択後のアフターサポートまで一貫した支援を行なっています。
事業再構築補助金を検討されている事業者様は、是非ご相談ください。