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【第12回事業再構築補助金】大幅な変更あり!2024年の事業再構築補助金について解説

中小企業庁のHPにて、第12回事業再構築補助金の公募要領が公表されました

事業再構築補助金は、2023年11月の行政レビューにて厳しい指摘を受けており、公募が停止している状況でした。

申請枠の見直しや類似案件排除の強化など、前回から大きな変更が行われての再開となります。

そのため、申請を検討する場合はしっかりと公募要領を確認することが必要となるでしょう。

今回は、前回までの事業再構築補助金からの変更点について、具体的に解説していきます。

従来の事業再構築補助金への行政レビュー

事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための事業再構築を支援する補助金です。

新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援し、日本経済の構造転換を促すことを目的としています。

そんな事業再構築補助金ですが、2023年11月に開催された行政事業レビューでは、外部有識者から厳しい指摘を受けていました

<行政レビューによる指摘内容>

・新型コロナ対策としての役割は終わりつつあるので、基金のうちそれにかかる部分は廃止し、もしくは抜本的に事業を構築し直すべき。
・申請書・財務諸表の精査、四半期ごとのモニタリングといった仕組みが確立されない限り新規採択は一旦停止すべきであり、それができない場合は基金として継続する必要は認められないため、国庫返納して通常の予算措置とすべき。
・審査の厳格化とデータの収集の厳格化については、引き続き十分な検討が必要である。

事業再構築補助金第12回公募における変更点

行政レビューの指摘を受けて、第12回公募ではいくつかの大きな変更点が加えられました。

申請枠の変更から審査体制の改善まで、変更点は多岐にわたります

申請を検討する場合は、公募要領も確認しておきましょう。
(第12回事業再構築補助金:公募要領

申請枠の変更

過去の事業再構築補助金で設けられていた事業類型が見直され、申請枠が6枠から3枠に簡素化されました

今なおコロナの影響を受けている事業者及び、ポストコロナに対応した事業再構築をこれから行う事業者への支援に重点を置いた内容となっています。

事前着手制度の廃止

第11回までの公募では一部認められていた、事前着手制度が原則廃止となりました

「これから」事業再構築を行う事業者への支援を重視した結果と考えられます。

ただし、経過措置として、第10回、第11回公募において事前着手が可能であった事業類型で不採択となった事業者が、第12回公募でコロナ回復加速化枠またはサプライチェーン強靱化枠に申請する場合のみ、事前着手が認められます

今回の経過措置をもって、事前着手制度は完全に廃止となります。

<第12回公募で事前着手が認められる場合>

①第10回、第11回公募において、物価高騰対策・回復再生応援枠又は最低賃金枠の補助金交付候補者として不採択となった事業者が、第12回公募において、コロナ回復加速化(通常類型)又はコロナ回復加速化(最低賃金類型)に申請する場合

②第10回公募において、サプライチェーン強靱化枠の補助金交付候補者として不採択となった事業者が、第12回公募において、サプライチェーン強靱化枠に申請する場合

※上記以外は、いかなる理由であっても事前着手が認められません。

コロナで債務を抱える事業者への加点強化

コロナ債務を抱える事業者へ、加点措置が取られることとなりました(一部の申請枠については必須要件)。

具体的には、コロナ借換保証等※で、債務の借り換えを行っている事業者に対して加点が行われます(コロナ借換加点)。

※コロナ借換保証等とは、下記の制度を指します

(1)伴走支援型特別保証(コロナ借換保証)
(2)コロナ経営改善サポート保証
(3)新型コロナウイルス感染症特別貸付
(4)生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付
(5)新型コロナ対策資本性劣後ローン
(6)生活衛生新型コロナ対策資本性劣後ローン
(7)[新型コロナ関連]マル経融資
(8)[新型コロナ関連]生活衛生改善貸付
(9)[新型コロナ関連]沖縄雇用・経営基盤強化資金

審査体制の強化

審査体制やシステムが刷新され、類似案件や事業計画書の使い回しへの対策が行われます。

今後は、事業計画書の作り込みがさらに重要となることが予想されます。

具体的な審査の改善・強化内容

・採択審査におけるAIでの重複率確認による類似案件排除

・一定期間に特定トピックの申請が集中した場合、システム上検知し、審査を厳格化、新分野進出は事業の新規性を公募毎に再検証

・採択後の交付審査・実績審査用のシステムを刷新し、AIを導入するなどして審査を標準化・高度化

第12回事業再構築補助金の申請枠

共通の基本要件

過去の申請と同じように、全ての事業類型で共通の要件が設けられています

●事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業である(事業再構築指針

●事業計画を金融機関等や認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受けていること

●補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3.0~5.0%(事業類型により異なる)以上増加または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率3.0~5.0%(事業類型により異なる)以上増加

事業再構築指針に示す事業再構築
新市場進出(新分野展開、業態転換)新たな製品等で新たな市場に進出する
事業転換主な「事業」を転換する
業種転換主な「業種」を転換する
事業再編事業再編を通じて新市場進出、事業転換、又は業種転換のいずれかを行う
国内回帰海外で製造等する製品について、その製造方法が先進性を有する国内生産拠点を整備する
地域サプライチェーン維持・強靱化               地域のサプライチェーンにおいて必要不可欠であり、その供給に不足が生じ、又は、生ずるおそれのある製品について、その製造方法が先進性を有する国内生産拠点を整備する

成長分野進出枠

成長分野進出枠は、ポストコロナに対応した事業再構築をこれから行う事業者への支援を重点化した枠です。

成長分野市場への進出や市場縮小産業からの転換を図る「通常類型」と、グリーン分野での事業再構築を行う「GX進出類型」の二つに分かれています。

通常類型
従業員規模補助上限額補助率
20人以下1,500万円(2,000万円)【中小企業】 1/2(2/3)
【中堅企業】 1/3(1/2)
21~50人3,000万円(4,000万円)
51~100人4,000万円(5,000万円)
101人以上6,000万円(7,000万円)
※市場縮小要件を満たして申請する場合に、廃業を伴う場合には、廃業費を最大2,000万円上乗せ
※補助上限額、補助率いずれの場合も()内は、短期に大規模な賃上げ(事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45円、②給与支給総額+6%を達成すること)を行う場合
対象要件
【市場拡大要件を満たして申請する場合】
必須要件に加え、以下の要件をいずれも満たすこと
① 事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させること
② 取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること

【市場縮小要件を満たして申請する場合】
必須要件に加え、以下の要件のいずかを満たすこと
① 過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施すること
② 地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域に属しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること
GX進出類型
従業員規模補助上限額補助率
中小企業:20人以下3,000万円(4,000万円)【中小企業】 1/2(2/3)
【中堅企業】 1/3(1/2)
中小企業:21~50人5,000万円(6,000万円)
中小企業:51~100人7,000万円(8,000万円)
中小企業:101人以上8,000万円(1億円)
中堅企業1億円(1.5億円)
※補助上限額、補助率いずれの場合も()内は、短期に大規模な賃上げ(事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45円、②給与支給総額+6%を達成すること)を行う場合
対象要件
①事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させること

② 取り組む事業が、グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当すること

コロナ回復加速化枠

コロナ回復加速枠は、今なおコロナの影響を受けている事業者を支援する申請枠です。

コロナで抱えた債務の借り換えを行なっている事業者や、事業再生に取り組む事業者を支援する「通常類型」と、コロナによって最低賃金引上げの影響を大きく受けている事業者を支援する「最低賃金類型」の2つに分かれています。

通常類型
従業員規模 補助上限額 補助率
5人以下1,000万円【中小企業】 2/3
(従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合は800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4)

【中堅企業】 1/2
(従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合は800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3)
6~20人1,500万円
21~50人2,000万円
51人以上3,000万円
対象要件
必須要件に加え、以下の要件のいずれかを満たすこと

① コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていること

② 再生事業者(Ⅰ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定中の者又はⅡ.中小企業活性化協議会
等において再生計画を策定済かつ再生計画成立後3年以内の者)であること
最低賃金類型
従業員規模補助上限額補助率
5人以下500万円【中小企業】 3/4(2/3)
【中堅企業】 2/3(1/2)

※()内は、下記の要件①を満たさない場合
6~20人1,000万円
21人以上1,500万円
対象要件
必須要件に加え、以下の要件のいずれかを満たすこと

① コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていること(任意)

② 2022年10月から2023年9月までの間で、3か月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員の10%以上いること

サプライチェーン強靭化枠

サプライチェーン強靱化枠は、その名の通り国内サプライチェーン強靱化の観点に重点を置いた事業再構築行う事業者を支援する申請枠です。

他の申請枠とは、公募要領が分かれているため注意しましょう。
(サプライチェーン強靭化枠:公募要領

補助上限額補助率
3億円 ※建物費を含む場合は5億円【中小企業】 1/2
【中堅企業】 1/3
対象要件
必須要件に加え、以下の要件のいずれかを満たすこと

① 取引先から国内での生産(増産)要請があること(事業完了後、具体的な商談が進む予定があるもの)

② 取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること

③ 下記の要件をいずれも満たしていること
⑴経済産業省が公開するDX推進指標を活用し、自己診断を実施し、結果を独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出していること
⑵IPAが実施する「SECURITY ACTION」の「★★ 二つ星」の宣言を行っていること

④ 下記の要件をいずれも満たしていること
⑴交付決定時点で、設備投資する事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高いこと。ただし、新規立地の場合は、当該新事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高くなる雇用計画を示すこと
⑵事業終了後、事業年度から3~5 年の事業計画期間終了までの間に給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させる取組であること

⑤ 「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにて、宣言を公表していること。

規模拡大・大幅賃上げに関する上乗せ措置

上記の申請枠とは別に、規模拡大・賃上げに取り組む事業者を支援する上乗せ枠が設けられています。

「卒業促進上乗せ措置」と「中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置」の2つがあり、成長分野進出枠もしくはコロナ回復加速化枠に申請する事業者のみが、同時に申請可能となっています

各上乗せ措置の両方に申請することはできない点と、各上乗せ措置の補助対象経費は、成長分野進出枠やコロナ回復加速化枠のものと明確に分ける必要がある点には注意しましょう。

卒業促進上乗せ措置
従業員規模・補助上限額補助率
成長分野進出枠・コロナ回復加速化枠に準じる【中小企業】 1/2
【中堅企業】 1/3
対象要件
成長分野進出枠又はコロナ回復加速化枠の補助事業の終了後3~5年で中小企業・特定事業者・中堅企業の規模から卒業すること
中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置
補助上限額補助率
3,000万円【中小企業】 1/2
【中堅企業】 1/3
対象要件
以下の要件をいずれも満たすこと

① 成長分野進出枠又はコロナ回復加速化枠の補助事業の終了後3~5年の間に、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること

② 成長分野進出枠又はコロナ回復加速化枠の補助事業の終了後3~5年の間に、従業員数を年平均成長率1.5%以上増員させること

また、各上乗せ措置の補助事業実施期間は、他の事業類型と異なる点にも注意しましょう

審査のポイント

補助金の審査は、事業計画を基に行われます。

採択率を高めるためには、合理的で説得力のある事業計画を策定することが必要です。

書面審査では、下記のような項目が重視されることが公表されています。

補助対象事業としての適格性     ・補助対象事業の要件を満たすか
・事業再構築指針に沿った取組であるか
新規事業の有望度・継続的に売上、利益を確保できるだけの規模を有しているか
・自社にとって参入可能な事業か
・競合他社と比較して自社に明確な優位性を確立する差別化が可能か
事業の実現可能性・事業化に向けた、課題の検証・解決方法、スケジュールが明確かつ妥当か
・最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できるか
・充分な体制を確保出来ているか
公的補助の必要性・川上、川下への経済波及効果が大きい事業や社会的インフラを担う事業、新たな雇用を生み出す事業であるか
・補助事業として費用対効果が高いか
・地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業か
過剰投資の抑制・特定の期間に、類似のテーマ・設備等に関する申請が集中してなされている場合には、一時的流行による過剰投資誘発の恐れがあるため、別途審査を実施
・過剰投資と判断された場合には、大幅に減点

まとめ

今回は第12回の事業再構築補助金について解説いたしました。

公募が停止していたこともあり、再開を待っていた事業者様も少なくないのではないでしょうか?

申請受付の開始日は「調整中」となっていますが、申請締め切りは7月26日(金)18時が予定されています

採択率を高めるためには、早めに準備をスタートし、事業計画をよく練り込んでおくことが大切です。

補助金制度の詳細や申請方法についてご不明点がある方は、どうぞお気軽にご連絡下さい!

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