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【2023年版対応】事業再構築補助金の採択率と採択率を上げる事業計画の作り方
ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済環境の変化に対応するために、中小企業等の新分野展開、業態転換、業種転換等の思い切った事業再構築の挑戦を支援することを目的とした「事業再構築補助金」ですが、枠組みや補助金額・補助率、応募要件など様々な点が変化してきました。
時代情勢によって変化してきた事業再構築補助金は、第11回公募でもまた新たに変わる点が追加されました。
補助金制度の中でも補助額が多い事業再構築補助金は、是非とも採択されたい補助金となることでしょう。
今回は、変更点が多く各公募において必要な条件が変わっていく、事業再構築補助金の採択率と採択率を上げる事業計画の作り方について紹介していきます。
事業再構築補助金の採択率について
事業再構築補助金の全ての応募枠での各公募での採択率は以下のようになります。
公募 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 |
第1回 | 22,229件 | 8,015件 | 36.0% |
第2回 | 20,800件 | 9,336件 | 44.9% |
第3回 | 20,307件 | 9,021件 | 44.4% |
第4回 | 19,673件 | 8,810件 | 44.8% |
第5回 | 21,035件 | 9,707件 | 46.1% |
第6回 | 15,340件 | 7,669件 | 49.9% |
第7回 | 15,132件 | 7,745件 | 51.1% |
第8回 | 12,591件 | 6,456件 | 51.3% |
第9回 | 9,369件 | 4,259件 | 45.5% |
第1回では初めての公募ということもあり、36.0%と低めの採択率となりましたが、第2回以降は、約45%~50%と半分くらいの確立で採択されるようになってきました。
また、応募件数の多い通常枠(第10回からは成長枠)は少し採択率が下がり、特別な枠の方が僅かではありますが高くなる傾向が見られます。
事業計画書の重要性
採択されるために大事なことは、事業計画書をしっかりと作り込むことです。
事業計画書は、事業再構築補助金の採択において一番大事な参考資料であり、計画書の内容次第で採択されるか否か決められると言っても過言ではありません。
また、書類不備などの基本的なことが足りてない場合も意外と多いのです。
事業計画書を丁寧かつ正確に作成していくことが、採択率を上げるための一番の方法となります。
不採択になる理由について
書類の提出する際に資料を添付し忘れたり、記入するものを誤って記入してしまったりと初歩的なミスによる不採択が、約10%も占めています。
これでは、審査の段階までたどり着くこともできずに不採択となってしまいます。
ですので、提出する書類を用意する際は、適切な書類で正しいファイル名かどうか、入力する数値のデータが間違っていないか、応募する枠が正しいかどうか等を何度も確認し、専門家のチェックを受けると良いでしょう。
採択率を上げるための事業計画書の作り方のコツ
事業再構築補助金に採択されるにはどのようなことを事業計画書に記入すれば良いのでしょうか?
審査におけるポイントなどについて、採択率が上がる事業計画書の作り方のコツについてまとめていきます。
1.「公募要領」と「事業再構築の指針」を読み込み、しっかりと理解しておくこと
事業計画書を作成する前に「公募要領」と「事業再構築の指針」の内容を十分に頭に入れておきましょう。
そうすることで、どのような事業者が対象なのか、必要な資料について、どのような審査項目があるのかなどを理解することができ、そもそも審査を受ける段階まで辿りつけないという初歩的なミスをなくすことができます。
2.自社の変遷と現状を分かりやすく説明する
まず初めに書いておくべきことは、自社の状況や経緯についてです。
これは自己紹介のようなものであり、自社について説明することで審査員に知ってもらうことができます。
その際には、経営者がどのような情熱を持っているのか、自社の創業の経緯、成長までの変遷を記入します。
次に、コロナ過になる前の自社の状況となった後の現状について説明します。
新型コロナウイルスの影響を明記しておくことで、審査員の印象を得やすくなるでしょう。
3. 図や表を交えて、わかりやすく伝えること
文章だけでは伝えづらいポイントは図や表を使い、わかりやすさを重視して記載していくと審査員に伝わりやすくなります。
ただし、図や表を使いすぎて文章が少なくなると逆にわかりづらくなってしまいますので、バランスを意識しましょう。
4.自社の強みが活かせる事業計画であるか
自社の強みを活かせる事業計画を策定していることも採択されるポイントとなります。
SWOT分析を行い、自社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を知ることで、自社の優れている点と弱い点を見つけることができます。
自社の強みを活かせることをしっかりとアピールして、弱い点をどのようにカバーしていくかを記載してきます。
その結果、新事業においてどのような相乗効果が得られるかなどを記載していくことができて説得力を増すことができます。
5.金融機関からの資金調達と返済の見通しがしっかりと立っていること
新事業を開始するにあたって全額自己資金で賄うことは困難であるため、基本的には金融機関からの資金調達することが多いでしょう。
事業規模に見合った資金調達計画を立てることができて、借入金の返済を営業利益で十分に返済することができるような計画でないと、審査において厳しい目を向けられることになります。
ですので、資金調達の計画についてしっかりとした道筋を描けていることを示しましょう。
6.補助金申請額よりも増加する付加価値額が大きくなること
補助金を利用して、申請額以上の付加価値を生み出していける事業計画であるかどうかは重要なポイントの1つです。
事業再構築補助金の申請要件の1つとして「補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たりの付加価値額の年率平均3.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定する。」というものがあります。
補助金を支給するにあたって、事業者にはしっかりと利益・新技術・雇用など新たな付加価値を出してもらうことが期待されているので、生み出すことのできる付加価値額が大きいと審査員に良い印象を与えることができるでしょう。
事業再構築補助金にて使われている付加価値額は「営業利益+人件費+減価償却費」となっています。
7. ニーズが客観的に見てもあることを証明すること
新規事業のニーズがあることを、主観的ではなく客観的に証明することによって採択率の上昇を狙えます。
例えば、市場データや意識調査データをもとにした市場分析は、客観的にニーズがあることのわかりやすい証明となります。
具体的にかつ客観的にニーズがあることを証明することで、信憑性を持たせることができて好印象をあたえられるでしょう。
8. コロナ禍の長期化における影響についてきちんと対策を立てられていること
新型コロナウイルスの影響は現在の時点で予想することは難しいと言えます。
なぜなら、いつ新型コロナウイルスが収束し経済の変化が起こることがわからないからです。
ですから、新型コロナウイルスが収束することを前提とした計画や、経済社会の変化を全く考慮していない計画はマイナスの印象を与えてしまうことになります。
現在でも、物価高騰や人材不足などの新型コロナウイルスが原因の企業への打撃も少なくありません。
コロナ禍の長期化を考慮し、それに伴って変化していく経済社会について詳しく考えられた事業計画であることを証明できるようにしましょう。
9. 地域活性化につながる事業計画であること
日本全体の国際競争力が、高齢化社会や地方の人口減少などによって低下しています。
それにより、社会保障負担も増大して財政破綻に陥る地方自治体も出てくるなど、このままでは地方都市の存続自体が難しくなってきていると言えます。
こうした状況から、地方再生への取組は重要事項であり、事業再構築補助金においても地域活性化につながる事業計画が評価される可能性は高いと考えられます
10.競合他社への優位性を詳しく説明すること
競合他社とどのような点においてどこが優れているのかを、根拠を持って説明することが出来れば、明確なアピールポイントとなります。
具体的には、既存事業で得た人材やノウハウといった独自の資源によって、導入する設備や実施する取り組みを事業計画書に記載することです。
審査項目に記載されている「補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。」という点をクリアできます。
加点項目について
事業再構築補助金の審査は「基本審査項目」「減点項目」「加点項目」の3つで行われ、その中でも「加点項目」は大きな採択されるためのポイントとなっており、加点項目が多いほど他の事業者よりも採択される可能性が高くなります。
どのようなことが加点項目に当てはまるのか?第10回公募の加点項目を例に紹介します。
1.経済産業省が行う EBPM (合理的な根拠に基づく政策立案)の取組みに協力していること
2. パートナーシップ構築宣言を行っていること
3.売上が大きく落ちていて業況が厳しいこと
4. 最低賃金枠に申請すること
5. 成長枠・グリーン成長枠・サプライチェーン強靱化枠に申請し、大幅な賃上げを実施すること
6. ワーク・ライフ・バランス等の取組をすること(女性活躍推進法や次世代法に関する認定を受けている場合)
7. 異なるサプライチェーンをもつ事業者が連携し、1年以上の取引関係を経て連携して申請すること
以上のような項目に当てはまるように事業計画書を作成し、必要となる追加資料を添付することでアドバンテージを得ることができ、審査を有利に進めることができます。
第11回公募について
第11回公募が令和5年8月10日に発表されました。
現在発表されている第11回の公募スケジュールは以下のとおりとなっています。申請を考えている方は早めに準備を済ませておくことをおすすめします。
公募開始:令和5年8月10日(木)
申請受付:調整中
応募締切:令和5年10月6日(金)18:00
採択発表:令和5年12月下旬~1月上旬頃(予定)
主な変更点としては、サプライチェーン強靭化枠が廃止されたことです。(事業再構築補助金についてはこちらの記事でも解説しています)
事業再構築補助金について検討している方や気になっている方は、中小機構の事業再構築補助金のホームページを細かくチェックして、第11回公募の概要を確認すると良いでしょう。
事業再構築補助金を申請するためには、認定経営革新等支援機関との事業計画策定が必要となります。
弊社も認定経営革新等支援機関に認定されており、他の補助金制度の申請においても多くの実績をあげております。
ご興味のある方は、是非お気軽にご相談下さい!