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先端設備等導入制度に基づく固定資産税の特例とは?
先端設備等導入制度が、令和5年4月から大きく改変されたことはご存知でしょうか?
ものづくり補助金や事業再構築補助金等を活用して大型機械装置などを購入する事業者様も少なくないと思います。
ですが、その場合には多額の固定資産税が発生する場合があります。
しかし、令和5年4月1日付の税制改正により、令和5年4月1日から令和7年3月31日までに取得される資産を対象に、新たな固定資産税の特例制度が設けられることとなりました。
そこで、先端設備等導入制度とはどのようなものか、また、それに基づく固定資産税の特例について紹介していきます。
先端設備等導入制度とは
先端設備等導入制度(計画)は、中小企業等経営強化法に規定された、中小企業者が、設備投資を通じて労働生産性の向上を図るための計画です。
この計画は、市区町村が国から「導入促進基本計画」の同意を受けている場合に、認定を受けることができます。
認定を受けた場合は、税制支援などの支援措置を受けることができます。
先端設備(機械装置や工具など)とは
認定経営革新等支援機関の確認を受けた投資利益率5%以上の投資計画に記載された設備、かつ設備の種類に応じた最低価額以上の設備のこといいます。
認定を受けられる中小企業者の規模について
先端設備等導入制度の認定を受けられる中小企業者は、中小企業等経営強化法第2条第1項に該当する方です。
以下の業種、資本金、従業員の範囲内であることが必要です。
業種分類 | 資本金の額または出資の総額 | 常時使用する従業員の数 |
製造業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウェア業または情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5千万円以下 | 200人以下 |
また、個人事業主、企業組合、協業組合、事業協同組合等についても認定の対象となります。
固定資産税の特例措置を利用できるのは、地方税法附則第15条第45項に規定される事業者が対象となります。(資本金1億円以下の法人・従業員数1,000人以下の個人事業主等(大企業の子会社を除く))
先端設備等導入制度の主な要件
ここでは、先端設備等導入制度を受けるために必要な条件について紹介します。
<市区町村が策定する導入促進基本計画で定めた期間>
3年間、4年間または5年間
<労働生産性>
計画期間において、基準年度(直近の事業年度末)比で労働生産性が年平均3%以上向上すること。
労働生産性は、次の算式によって算定します。
(営業利益+人件費+会計上の減価償却費)/労働投入量(労働者数 又は 労働者数×1人当たり年間就業時間)
<先端設備等の種類>
機械装置、測定工具及び検査工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウェアなどの労働生産性の向上に必要な生産、販売活動等の用に直接供される設備等です。
※市区町村が策定する導入促進基本計画で異なる場合があります。
<計画の記載内容(認定のポイント)>
計画書は以下のようなポイントに沿って記載する必要があります。
1.導入促進指針及び導入促進基本計画に適合するものであること
2.先端設備等の導入が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること
3.認定経営革新等支援機関において事前確認を行った計画であること
固定資産税の特例と受けるために必要なこと
先端設備等導入計画を認定された中小企業者等は、支援措置を受けることができます。
その内容やどのような方が受けられるのかを紹介します。
対象者
1.資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人
2. 資本金もしくは出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
3.常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主
この三つのうち、先端設備等導入計画について認定を受けた者が対象となります。
対象設備
認定経営革新等支援機関の確認を受けた、投資利益率5%以上の投資計画に記載された設備で、「生産、販売活動等の用に直接供されるものであること」「中古資産でないこと」が条件となります。
減価償却資産の種類 | 最低取得価格 |
機械装置 | 160万円以上 |
測定工具及び検査工具 | 30万円以上 |
器具備品 | 30万円以上 |
建物附属設備(家屋として課税されるものを除く) | 60万円以上 |
取得期間は、いずれも令和5年4月1日から令和7年3月31日となります。
特例割合
対象の資産の固定資産課税標準に適用される特例割合・適用期間は以下のようになります。
資産の取得時期 | 特例割合 | 適用期間 |
令和5年4月1日から令和7年3月31日 | 2分の1 | 3年間 |
また、賃上げ方針を計画内に位置づけ、従業員へ表明した場合は以下のようになります。
資産の取得時期 | 特例割合 | 適用期間 |
令和5年4月1日から令和6年3月31日 | 3分の1 | 5年間 |
令和6年4月1日から令和7年3月31日 | 3分の1 | 4年間 |
注意点
先端設備等導入制度の注意点として、原則として、認定後に取得した設備が税制優遇措置を受ける対象となることです。
取得後に認定を受けても、対象にはなりません。
ですので、必ず認定支援機関確認書を認定支援機関からを受け取り、市区町村に書類を提出した後に設備を取得する必要があります。
先端設備等導入制度を受けるまでの流れ
1. 経営革新等支援機関の事前確認
経営革新等支援機関に事前確認を行いましょう。投資計画に関する確認も依頼し、それぞれの確認書を手に入れましょう。
2. 市区町村へ申請
中小企業等経営強化法に基づく先端設備等導入計画に係る認定申請書及び認定書の写しと、先端設備等に係る投資計画に関する確認書の写し、従業員へ賃上げ方針を表明したことを証する書面(賃上げ方針を表明した場合のみ)を提出します。
また、リースによる場合は、リース契約書の写しと軽減税額計算書(公益社団法人リース事業協会発行)の写しも必要です。
3. 認定を受ける
申請が認められ、認定を受けたならば、市区町村長から認定書が交付されます。
認定された後は、税制措置や金融支援を受けながら、計画に沿った活動に取り組みましょう。
まとめ
先端設備等導入制度を活用することで、補助金によるコスト削減の効果が固定資産税によって薄れてしまうことを防ぐことができます。
対象となる事業者様は積極的に制度を活用するようにしましょう。
先端設備等導入制度には、経営革新等支援機関の支援が必須となっています。
すずかぜパートナーズでは、企業者様に寄り添い、また専門的な知識をもって先端設備等導入制度のお助けができると自負しております。
新しく改変された先端設備等導入制度についてお考えの方は、まずはご相談ください!