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DX投資促進税制とは?制度の概要や期限延長に伴う変更点について【徹底解説】

デジタル化が進み、「DX化」という言葉をよく聞くようになってしばらく経ちました。

コロナによる市場環境の変化で、DX化のニーズはより高まっていると言えます。

他社との競争で優位性を確保していくため、自社でのDX化を検討している事業者様も少なくないのではないでしょうか?

2021年に創設された「DX投資促進税制」は、DX化に向けた投資を行う際に税額控除や特別償却などの措置を受けられる税制です。

上手く活用することができれば、DX化の初期コストを低減させることが可能です。

今回はそんな「DX投資促進税制」について解説して行きます。

DX化とは?

DXとは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略で、企業が市場の変化に対応しつつ、デジタル技術の導入により新たな価値、体験を提供することを指しています。

製品やサービスといった業務自体の変革はもちろん、そのために行われる組織、企業文化・風土といった社内の変革も含まれます。

「IT化・デジタル化」と混同されるケースが多いですが、IT化やデジタル化は、DXを実現するための手段で、DX化の前段階に相当します。

IT化やデジタル化が既存の業務やプロセスをデジタル技術に置き換えるだけであることに対して、DX化は「デジタル技術を活用してビジネスモデルそのものを変革する経営戦略」だと言えるでしょう。

そのため、DX化を行うには会社組織全体を意識したより広い視野での取り組みが必要になります。

DX投資促進税制とは?

DX投資促進税制とは、デジタル技術を活用した企業変革を進める観点から2021年創設された税制優遇制度です。

デジタル環境の構築(クラウド化等)による企業変革に向けた投資に関して、税額控除または特別償却を適用することができます。

2021年8月2日から2023年3月31日(2022年度末)までの時限措置となっていましたが、要件の改正が加えられたうえで、2025年3月31日(2024年度末)まで延長されることになりました。

適用できる税額控除・特別償却

DX投資促進税制では3%〜5%の税額控除、または30%の特別償却のいずれかを適用することができます。

税額控除は原則3%が適用となりますが、自社グループ外の法人ともデータの連携や共有を行う場合は5%の税額控除を適用することが可能です。

<税額控除とは>
税額控除とは収めるべき法人税額を計算する際に、一定額を控除できる制度のことです。

<特別償却とは>
通常の減価償却費とは別に経費の追加計上ができる制度です。

特別償却と税額控除との大きな違いは、「長期的な節税かどうか」です。

税額控除は法人税などから直接控除を行うことができるため、ダイレクトな節税が可能です。

一方で、特別償却は損金計上の前倒しであり、特別償却を使用しなくても最終的に計上できる経費の総額は変わりません。

しかし、投資を行う初年度に税負担を軽減できる点は、中小企業にとって大きなメリットだと言えるでしょう。

認定を受けるための要件

DX投資によって特別償却または税額控除を受けるには、DX認定を受けてから事業適応計画を作成して申請する必要があります。

その際に「デジタル要件(D要件)」と「企業変革要件(X要件)」2つの要件を満たしていなければ、DX認定を受けることができません。

企業変革要件(X要件)に関しては、現行(2024年3月末まで)の制度と期限延長(2025年3月末まで)の制度で要件が変更されている点には注意が必要です。

デジタル要件(D要件)
以下の3点を満たす必要があります。
データ連携社外のデータや、センサーなどを用いて新たに取得するデータと、既存の社内データとを連携させる必要があります。
クラウド技術の活用社外のクラウド技術を用いたITサービスを活用するか、自社のクラウド技術を活用する必要があります。
情報処理推進機構(IPA)が審査する「DX認定」の取得      審査では、経営ビジョン、戦略、サイバーセキュリティ等の確保などの6項目について認定基準に適合しているかどうかをチェックされます。
※デジタル人材育成・確保が新たに要件化されています
企業変革要件(X要件)
計画の実施期間が5年以上であることに加え、以下の条件に合致する必要があります。
現行制度(2024年3月末まで)
全社の意思決定に基づくものであること取締役会などにおける決議文書を添付するなど、全社の意思決定に基づくものであることを明示する必要があります。
一定以上の生産性向上などが見込まれることROA(総資産利益率)や売上高伸び率の上昇などの指標を満たし、一定以上の生産性向上が見込まれている必要があります。
期限延長制度(2024年4月1日〜2025年3月末まで)
全社の意思決定に基づくものであること取締役会などにおける決議文書を添付するなど、全社の意思決定に基づくものであることを明示する必要があります。
全社レベルでの売上上昇が見込まれること売上高が10%以上増加する見込みであること
成長性の高い海外市場の獲得を図ること対象となる事業の海外売上高の比率が一定割合以上となること

対象となる投資

DX投資促進税制では、以下のような4分野が対象資産となります。

(1)ソフトウェア

(2)繰延資産(クラウドシステムへの移行に係る初期費用)

(3)器具備品(ただし、ソフトウェア・繰延資産と連携して使用するものに限る)

(4)機械装置(ただし、ソフトウェア・繰延資産と連携して使用するものに限る)

投資上限額

DX投資促進税制における投資上限額は以下の通りです。

  1. 投資額上限:300億円(投資額が300億円を上回る場合は300億円までが控除の対象)
  2. 投資額下限:国内の売上高0.1%以上

投資金額上限は計画の認定要件ではないため、300億円を超える投資計画であっても認定を受けることが可能です(特別償却限度額や税額控除限度額は300億円までで計算されます)。
また、下限金額については、設備毎ではなく計画全体で判断を行います。

DX投資促進税制の手続きの流れ

DX投資促進税制の適用を受けるまでの具体的な流れは、以下の通りです。

一般的にはDX認定を受けて、実際にDX投資促進税制の適用を受けるまでには、半年以上の時間が必要です。

制度の適用を検討している場合は、早めに準備するようにしましょう。

1.制度の概要や要件を理解するDX投資促進税制の適用を受けるためには、制度の概要や要件を把握しておかなければなりません。
適用要件を満たすために何をすべきか、自社の現状を把握し、どのようなDXに取り組むかを検討しましょう。
単純にソフトウェアや機器を導入するだけでは、適用を受けられないケースも多い点には注意が必要です。
2.DX認定を取得するDX認定の取得は、制度の適用を受けるための要件のひとつです。
認定には、「デジタルガバナンス・コード※」と呼ばれる基準を満たす必要があります。
情報処理推進機構が運営する「DX推進ポータル」から申請できます。(認定の審査に関して費用などは発生しません。)
3.「事業適応計画」の作成・承認DX認定の取得後は、「事業適応計画」を作成し、経済産業大臣の承認を得る必要があります。
事業適応計画における取り組み内容の属する事業分野を所管する省庁へ、個別に相談の上、「事業適応計画」を作成・提出します。
事業適応計画には、目標数値や事業の具体的な内容などを記載します。
4.事業適応計画の実施・DX資産の取得「事業適応計画」が認定されると、認定書・確認書が発行されます。
事業適応計画やデジタルガバナンス・コードに則り、実際にDX資産を取得してDXに取り組みましょう。
税制適用期間内に実際に事業に活用する必要があります。
5.税務申告を行う事業の適用年度が終了したら、税額控除か特別償却を適用して税務申告を行います。
事業適応計画と認定書・確認書の写しも必要となるため、準備しておきましょう。
6.実施状況報告書の提出        適用事業年度終了後、3ヵ月以内に「実施状況報告書」を提出する必要があります。

※デジタルガバナンス・コードは、以下の4分野6項目です。
(1)ビジョン・ビジネスモデル
(2)戦略
 1.組織づくり・人材・企業文化に関する方策
 2.ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
(3)成果と重要な成果指標
(4)ガバナンスシステム

DXへの取り組みに活用できるその他の制度

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDXの推進、サイバーセキュリティ対策、インボイス制度への対応等に向けたITツールの導入を支援する補助金です。

日々のルーティン業務を効率化させるITツールや情報を一元管理するクラウドシステム等、バックオフィス業務の効率化やデータを活用した顧客獲得など、生産性の向上や業務プロセスの改善と効率化に資する汎用的なITツール導入に活用できます。

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者の革新的な技術・商業・サービスの生産性を向上させるための設備投資に対し支援を行う補助金です。

補助金額は特例を利用すれば最大8,000万円の補助額となっており、大規模・高額な設備への投資にも活用できます。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主を支援する、厚生労働省管轄の助成金です。

「正社員化支援」と「処遇改善支援」の2種類があり、DX推進のために人員体制を強化する、賃上げを行うといった場合に活用が可能です。

まとめ

DX投資促進税制の準備・申請には相当な時間が必要になります。

特に、中小企業ではDX投資促進税制の適用を考えていたとしても、なかなかリソースを割くことができない場合も多いと思います。

自社での完結が難しい場合は、税制に詳しい専門家のフォローを受けることも有効です。

当社では、豊富な実績と経験をもとに方針づくりや計画策定を的確にサポート致します。

興味のある方は、是非お気軽にお問い合わせください!

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