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【2023年版対応】業務改善助成金とは

物価が高騰する昨今、従業員の賃金を引き上げたいと考えている中小企業・小規模事業者も少なくないのではないでしょうか?

ですが、賃金を値上げするためには、まずは事業の生産性をどう向上するかが重要になります。

そこで、政府は生産性向上のために設備投資をする事業場に対して、「業務改善助成金」という賃金の引上げを後押しする助成金制度を設けました。

今回は、業務改善助成金の内容と申請するための注意点を詳しく紹介します。

業務改善助成金とは

業務改善助成金とは生産性向上に関する機械設備、コンサルティング導入や人材育成等の設備投資を行い、事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げた事業者に対して、設備投資にかかった費用の一部を助成する制度です。

中小企業・小規模事業者が生産性向上を通して、事業内全体で人材面強化のモチベーションを上げることが狙いです。

業務改善助成金の対象事業者

業務改善助成金の対象となる事業者は以下のようになります。

・中小企業・小規模事業者であること

・事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること

・従業員の解雇や退職勧奨、賃金の引き下げなどの不交付事由がないこと

また、ここで当てはまる中小企業・小規模事業者は以下の通りです。

業種資本金または出資額                 常時使用する労働者     
小売業 小売業、飲食店など5000万円以下50人以下
サービス業 物品賃貸業、宿泊業、医療・福祉、複合サービス事業など5000万円以下100人以下
卸売業卸売業1億円以下100人以下
その他の業種農業、林業、漁業、建築業、製造業、運輸業、金融業など3億円以下300人以下

受給対象となる取り組み

業務改善助成金を受給するには以下の取り組みを行っている必要があります。

1.賃金引上計画を策定すること

2.事業場内最低賃金を引き上げること

3.生産性向上に資する機器・設備などを導入して業務改善を行い、その費用を支払うこと

対象となる経費について

業務改善助成金では、生産性の向上につながる設備投資等にかかる経費が助成の対象となります。

例として、以下のようなものが挙げられます。

経費区分対象経費の例
機器・設備の導入・POSレジシステム導入による在庫管理の短縮
・リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
その他店舗改装による配膳時間の短縮

特例事業者について

業務改善助成金において、下記3つの要件を満たす事業者は特例事業者とみなされます。

1.賃金要件事業場内最低賃金が950円未満の事業場に係る申請を行う事業者
2. 生産量要件新型コロナウイルス感染症の影響により、売上高や生産量等の事業活動を示す指標の直近3か月間の月平均値が、前年、前々年又は3年前同期に比べ、15%以上減少している事業者
3. 物価高騰等要件            原材料費の高騰など社会的・経済的慣行の変化等の外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1月の利益率(売上高総利益率又は売上高営業利益率)が、前年同期に比べ、3%ポイント以上低下している事業者

この中でも、2と3を満たす特例事業者については、助成対象経費が拡充されます。

一般事業者では対象外であるスマートフォンや乗用自動車も費用の対象となるので、注目すべきポイントです。

業務改善助成金の助成額について

業務改善助成金の上限額は、賃上げの金額(コース)と引き上げる労働者数などによって決まります。

助成額の上限は以下のようになっています。

コース区分   事業場内最低賃金の引き上げ額   引き上げる労働者数     事業者規模30人以上の事業者事業者規模30人未満の事業者
30円コース30円以上1人30万円60万円
2~3人50万円90万円
4~6人70万円 100万円
7人以上100万円120万円
10人以上※120万円130万円
45円コース45円以上1人45万円80万円
2~3人70万円110万円
4~6人100万円140万円
7人以上150万円160万円
10人以上※180万円180万円
60円コース60円以上1人60万円110万円
2~3人90万円160万円
4~6人150万円190万円
7人以上230万円230万円
10人以上※300万円300万円
90円コース90円以上1人90万円170万円
2~3人150万円240万円
4~6人270万円290万円
7人以上450万円450万円
10人以上※600万円600万円

※10人以上の上限区分は、特例事業者のみ対象

業務改善助成金の助成率について

助成率は、申請を行う事業場の引き上げ前の事業場内最低賃金によって異なり、以下のようになっています。

事業場内最低賃金額             助成率
900円未満            9/10
900円以上950円未満    4/5(生産性要件を満たした事業場の場合は9/10)
950円以上    3/4(生産性要件を満たした事業場の場合は4/5)

最新の変更点

令和5年8月31日から業務改善助成金が以下のとおりに拡充されました

・対象となる事業場について、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内から50円以内に拡大

・事業場規模50人未満の事業者について、賃金引上げ後の申請を可能とする。 また、2023年4月1日から12月31日までに賃金引き上げを実施していれば、賃金引き上げ計画の提出は不要となる

・事業場内最低賃金額に応じて設けた助成率の区分を30円引き上げる

これにより、より申請しやすくなりました。

申請を考えている方への注意すべき点として、令和5年10月から順次発効される地域別最低賃金の改定額に対応して事業場内最低賃金を引き上げる場合、発効日の前日までに引き上げる必要があることです。

特例コースについて

業務改善助成金には通常コースのほかに特例コースがあります。

特例コースは、新型コロナウイルス感染症の影響によってダメージを受けた事業者を支援するための制度で、通常コースよりも助成対象になる経費の範囲が広くなっています。

令和5年1月31日に受付が終了しておりますが、過去に受付が再開されたケースがあるのでホームページなどでこまめに確認するようにしましょう。

助成対象となる経費

生産性向上等に資する設備投資等のほか、業務改善計画に計上された「関連する経費」も助成対象となります。

生産性向上に資する設備投資など:機械設備、コンサルティング導入、人材育成・教育訓練など

関連する経費:広告宣伝費・汎用事務機器、事務室の拡大やオフィス家具の増設など

機械設備にはPC、スマホ、タブレットの新規購入、乗車定員7人以上又は車両本体価格200万円以下の自動車なども対象となります。

また、関連する経費であっても事務所借料、光熱費、賃金、交際費、消耗品などは助成対象とにはならないので注意しましょう。

特例コースの助成額と助成率

通常コースとは異なり、30円コースなどのコース区分はありません。

引き上げる労働者数によって助成上限額が決められています。

引き上げる労働者数助成上限額
1人30万円
2~3人50万円
4~6人70万円
7人以上100万円

助成率は、生産性向上のための設備投資等にかかった費用に一律で3/4で、事業場内最低賃金額が920円未満の場合は4/5となっています。

業務改善助成金の申請から支給までの流れ

業務改善助成金の交付申請は、事業所のある都道府県労働局に対して行います。

申請から支給までの流れを紹介します。

1.助成金交付申請書を労働局に提出する事業改善計画と賃金引上げ計画を記載した交付申請書(様式第1号)を作成し、都道府県労働局に提出します。
2. 助成金交付決定通知提出した助成金交付申請書は、都道府県労働局において交付申請書の審査を行い、内容が適正と認められれば助成金の交付決定通知が送られてきます
交付申請から交付決定までは、約1か月程度かかります。
交付決定前に設備投資をおこなっても、助成金の対象とはならないため注意しましょう。
3.事業の実施              助成金交付申請書の決定通知を受けたら、業務改善計画に基づいた設備投資などと、賃金引き上げ計画に基づいた事業場内最低賃金の引き上げを行います。
4.事業実績報告書の提出業務改善計画の実施結果を記載した事業実績報告書(様式第9号)を作成し、都道府県労働局に提出します。
5.助成金の額の確定通知提出した事業実績報告書は、都道府県労働局で審査が行われ、内容が適正と認められれば助成金額を確定し通知書が送られてきます。
6. 助成金の支払い助成金額の確定通知を受けた事業主は、支払請求書(様式第13号)を提出します。
ここまでの工程を終えると、適用されるコースの助成金額に応じて助成金の支払いが実施されます。

業務改善助成金の活用事例

業種ビルメンテナンス業
事業背景と課題    現地にて室内環境を測定した後、会社に戻って報告書作成をする必要があったため、業務効率化を検討しました。
室内環境を測定する現地で作業を完結することで二度手間をなくしたいという思いがありました。
投資内容・効果タブレット型の室内環境測定器の導入により、会社に戻って測定データを取り出したり報告書を作成したりする必要がなくなりました。
また、測定時の不具合による再測定にもすぐ対応でき、再測定のための時間のロスも無くなりました。
さらに、機器も小型軽量化したため、搬入・設置等の作業負担が減りました。
これらの生産性の向上が4人の従業員の時間給(事業場内最低賃金)を平均38円引き上げに繋がりました。
業種障害者福祉事業
事業背景と課題              車椅子利用者の送迎時には2名で行き介助はすべて人力で行わなければなりませんでした。また、乾燥機能のない洗濯機を使用していたため、干したり取り込んだりする手間と時間がかかり、冷蔵庫は容量が小さいため毎日買い出しに行く必要がありました。
そのため、車両や機器の導入による業務効率化を検討しました。
投資内容・効果リフト付き福祉車両、乾燥機能付き洗濯機、大容量冷蔵庫の導入により、車椅子利用者の送迎時間及び買い出し回数が半減し、洗濯物干し及び取り込み時間がなくなりました。
生産性が向上し、5人の従業員の時間給(事業場内最低賃金)を90円引き上げました。
業種飲食業
事業背景と課題         飲食物の注文をインターフォンで受け付けて、調理者への伝達や顧客の会計などをすべて手作業で行っており、常に注文を受ける体制を取る必要があり、注文や精算の間違いも発生していました。
そのため、システム導入による業務効率化を考えていました。
投資内容・効果セルフオーダーシステムの導入により、スタッフが対応することなく顧客自ら注文可能となって注文・精算ミスもなくなり、注文率が1割程度上がりました。
注文や精算の効率化により生産性が向上し、3人の従業員の時間給(事業場内最低賃金)を90円引き上げました。

まとめ

中小企業・小規模事業者で事業場内最低賃金の引上げを検討している方は多いと思います。

ですが、賃金の引上げは目に見える業績の成果が上がっていなければ、なかなか簡単に行えることではありません

業務改善助成金はそのような方々の後押しするための制度であり、雇用者と労働者の両方にメリットがあり業績向上に繋げてくれます。

また、助成金は補助金とは違い条件に満たせば採択される可能性が高いものとなっております。

業務改善助成金について検討している方は、まずはお気軽にご相談ください!

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