お知らせ
【最大1億円の新枠創設】令和5年度補正予算のものづくり補助金について
中小企業の革新的な製品・サービスの開発、生産プロセスの省力化に必要な設備投資などを支援する「ものづくり補助金」。
個人事業主やスタートアップ企業などの幅広い事業者が活用できる知名度の高い補助金の一つです。
今後も引き続き継続される方針で、2023年11月29日に成立した「令和5年度補正予算」でも、中小企業等を支援する施策のひとつとして「ものづくり補助金」が計上されています。
また、2023年12月に中小企業庁から公開されたものづくり補助金のパンフレットでは、「省力化(オーダーメイド)枠」をはじめとする新枠創設も公表されています。
今回はそんなものづくり補助金の大きな変更点について解説していきます。
令和5年度補正予算ものづくり補助金の補助額
ものづくり補助金は、中小企業等が行う革新的な製品・サービスの開発や生産プロセス等の省力化に必要な設備投資等を支援するものです。
(前回公募の詳細はコチラの記事で紹介しています:ものづくり補助金第16次公募の変更点)
令和5年度補正予算の中では、2回程度の公募が行われる予定です。
対象経費としては、主に以下のものが該当します。
機械装置・システム構築費(必須)/技術導入費/専門家経費/運搬費/クラウドサービス利用費/原材料費/外注費/知的財産権等関連経費
令和5年度補正予算における公募では、以下の支援枠・類型が予定されています。
※( )の金額は大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例を活用した場合です。
申請枠 | 補助金額(従業員数ごと) | 補助率 | |
省力化(オーダーメイド)枠 | 5人以下:750万円(1,000万円) 6~20人:1,500万円(2,000万円) 21~50人:3,000万円(4,000万円) 51~99人:5,000万円(6,500万円) 100人以上:8,000万円(1億円) | 1/2※ 小規模・再生事業者: 2/3 ※補助金額1,500万円までは1/2、 1,500万円を超える部分は1/3 | |
製品・サービス高付加価値化枠 | 通常類型 | 5人以下:750万円(850万円) 6~20人:1,000万円(1,250万円) 21人以上:1,250万円(2,250万円) | 2/3 |
成長分野 進出類型 (DX・GX) | 5人以下:1,000万円(1,100万円) 6~20人:1,500万円(1,750万円) 21人以上:2,500万円(3,500万円) | 2/3 | |
グローバル枠 | 3,000万円(3,100万円~4,000万円) | 1/2 小規模事業者は2/3 | |
大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例 補助事業終了後の3~5年で大幅な賃上げに取り組む事業者は、上記枠の補助上限に100万円~2,000万円上乗せされます。 |
ものづくり補助金の変更点
ものづくり補助金における全申請枠共通の申請要件としては以下項目が掲げられています。
中小企業・小規模事業者等が、革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス等の省力化のための設備投資・システム構築を行い、以下の基本要件等を目指す3~5年の事業計画に取り組むこと。
① 付加価値額 年平均成長率3%増加
② 給与支給総額 年平均成長率1.5%増加
③ 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上
令和5年度の公募要領では「改善」という言葉が使われていましたが、令和5年度補正予算では「改善」ではなく「省力化」という言葉に変更されています。
また、具体的な変更点・注目点は主に以下の通りです。
1.省力化(オーダーメイド)枠の新設
2.製品・サービス高付加価値化枠の新設
3.グローバル枠の継続
4.大幅賃上げに係る補助上限額引き上げ特例の拡充
5.その他(口頭審査や公募時期、産業雇用安定助成金との連携)
省力化(オーダーメイド)枠の新設
省力化(オーダーメイド)枠とは、中小企業・小規模事業者が人手不足の解消等を目的とした、生産プロセス等の省力化の取り組みを進めることを目的とした申請枠です。
個々の事業者のビジネスプロセスに応じたオーダーメイド型の省力化投資などについての補助上限額が引き上げられています。
大幅賃上げ特例の適用も含めると補助額1000万円~1億円となる補助額の大きな枠です。
補助金のリーフレットで紹介されている活用イメージは以下の通りです。
熟練技術者が手作業で行っていた組立工程に、システムインテグレータ(Sier)と共同で開発したAIや画像判別技術を用いた自動組立ロボットを導入し、完全自動化・24時間操業を実現。
組立工程における生産性が向上するとともに、熟練技術者は付加価値の高い業務に従事することが可能となった
製品・サービス高付加価値化枠の新設
サービス高付加価値化枠とは、中小企業・小規模事業者が、付加価値の高い革新的な製品・サービスの開発に取り組むために必要な設備投資などを支援する申請類型です。
サービス高付加価値化枠には、通常類型と、成長分野進出類型(DX・GX)の2種類があります。
成長分野進出類型では、単に設備やシステムを導入しただけでは、要件に該当しません。
導入した設備やシステムに自社の技術力を加えて開発する必要があります。
補助金のリーフレットで紹介されている活用イメージは以下の通りです。
通常類型:最新複合加工機を導入し、精密加工が可能となり国際基準に準拠した部品を開発
成長分野進出類型:AIやセンサー等を活用した高精度な自律走行搬送ロボットの試作機を開発
グローバル枠の継続
グローバル枠は、前回から引き続き設けられている申請枠です。
海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備投資等を支援します。
補助金のリーフレットで紹介されている活用イメージは以下の通りです。
海外市場獲得のため、新たな製造機械を導入し新製品の開発を行うとともに、海外展示会に出展
大幅賃上げに係る補助上限額引き上げ特例の拡充
第17次以降から賃上げをする事業者への支援が拡充されます。
省力化(オーダーメイド)枠においては、特に上乗せ額が拡充されており、最大2,000 万円まで補助上限を引き上げることができます。
一方で、要件未達の場合には返還義務などが生じる可能性があります。
活用する場合は、事前にしっかりと計画を立てるようにしましょう。
その他(口頭審査や公募時期、産業雇用安定助成金との連携)
その他の細かな変更点は以下の通りです。
①口頭審査の導入
2024年度から交付候補者決定前において、一定の投資規模の事業計画に取り組む事業者に対して、口頭審査が導入されます。
②補助事業終了日が早くなった
令和5年度補正予算に基づく公募は2回程度実施予定されていますが、いずれの公募回においても、補助事業実施期間は令和 6 年 12 月 10 日までとなっています(令和 6 年 12 月 10 日までに実績報告まで完了する必要があります)。
延長等は原則できませんので、注意するようにしましょう。
③厚労省の産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース) との連携。
「製品・サービス高付加価値化枠」で交付決定を受けた中小企業等に対し、「産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)※」との連携が実施されます。
※景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた中小事業主等が生産性向上等に必要な新たな人材を雇入れた場合に、当該事業主に対し、当該人材に係る賃金の一部を助成する制度
第17次公募のスケジュール予想
申請スケジュール | <第17次ものづくり補助金> 公募開始:令和6年1月~2月前後 申請締切:令和6年2月~3月前後 ※ものづくり補助金の申請には、gBizIDプライムアカウントが必要となります。取得にはおおよそ2〜3週間必要となるので、早めに取得を進めましょう。 |
すずかぜパートナーズ 申請サポート
ものづくり補助金の第17次公募の詳細はまだ公表されていませんが、本記事で説明したように大幅な変更が行われています。
申請を検討されている事業者様は今まで以上の前もって準備することが必要となるでしょう。
また、ものづくり補助金の採択率はおおよそ50%前後となっており、自社のみで精度の高い申請書類・事業計画書を作成するハードルは高いと言えます。
なるべく負担の少ない申請を行いたい事業者様、より採択率を高める申請を行いたい事業者様はぜひお気軽にご相談下さい!